社報shinko〜親交〜 2006年11月号

会長レポート:地中海クルーズ(最終編)

会長 古市 實

7月7日朝8時、活気あふれる国際港マルセイユに入港した。各国の豪華客船が多数寄港していた。この日は8時半からバスに乗り、南フランスの歴史的名所3カ所を10時間で見て周った。最初に高速道路で約2時間、ポン・デュ・ガールという1985年にユネスコの世界遺産として登録されている有名なローマの水道橋を見た。ニームの街に飲料水を送る全長50kmの導水路の一部である。ガルドン川を越えて水を運ぶために高さ49m、全長275m、最大6トンもある石が積み上げて造られていた。建築年代は一世紀中頃と言われている。ローマ人の建築家達の美的感覚、微妙な計算で造られた偉大さに驚いた。

次にバスで約一時間、ブドウやオリーブ畑を両側に眺めつつ、アヴィニョンに到着した。全長4.3kmの城壁に囲まれた人口9万人の街で、中世時代に法王庁がローマより移された街でもある。立派な宮殿をはじめ、教会や修道院など壮大な建物が次々と建てられた豪華な生活、歴史遺産(世界遺産登録)を見ることができた。城門を出たところで、昼食をとったが、そのレストランはLA MIRANDEという店で、もとはナポレオン三世の邸宅だったので非常に格式も高く、上品なイタリア料理を味わうことができた。毎年7月上旬に法王庁宮殿を中心に舞台が作られ、演劇などが3週間にわたって開催される。世界中の有名な音楽家や俳優、劇作家などが集まって、24時間お祭り騒ぎで賑わうそうである。修道院の回廊、ローム川の船上、倉庫などあらゆる場所が舞台になり華やかなことである。

ここからバスで40分ほど、アルルの街に入った。ゴッホが描いた「夜のカフェテラス」のあるフォーロム広場、彼が2年間滞在中に300を超える作品を完成させたことでも有名である。徒歩で石の柱のカヴァルリ門をくぐり、最大のモニュメント円形闘技場、市庁舎、サン・トロフィーム教会のあるレビュプリック広場などをめぐった。約2時間歩いてバスに乗り、船に戻ったのが19時前であった。19時半からプールサイドで地中海フェスタが催された。バーベキューディナーは地中海で採れた魚介類や付近の陸地で調達した品々がいっぱい並んでいた。8人組の専属チーム(男子3名、女子5名)が音楽とダンスで楽しませてくれた。台湾人の料理人が氷細工をして見せたり、ダンスチームと一緒にディスコタイムで踊ったり、夜遅くまで賑やかであった。

7月8日は終日航海日であったが、午前中に下船についての説明会があった。早いものでクルーズ6日間があっという間に過ぎた。正午からは「ギャレー(キッチン)ランチ」と称する、船の厨房見学を兼ねたブッフェスタイルの昼食会が行われた。乗客、船員680名分の食事をまかなう数々の調理設備や料理を作っているところを拝見できた。午後は東京より招かれていた芸術家による書道デモンストレーションがあり、日本の芸術を紹介していた。その後最上階の操舵室の見学ブリッジツアーがあり、コルサロ船長の案内で航海の興味あるお話を聞き、無数の計器類に感心させられた。夜は音楽演奏やダンスショーがあり、19時から船長主催のフェアウェルレセプションが行われ、正装で晩餐会に臨んだ。

7月9日、スペイン領マジョルカ島パルマに着いた。バスと列車に乗り、曲がりくねった道路、島の北部海岸線の山々が美しい景観を楽しみながらドライブし、港から約45分のヴァルテモーサ村に到着。まず、村で最も有名なカルトバ修道院で17世紀の美しい回廊や庭園を見学した。1838年、フレデリック・ショパンとジョルジュ・サンドが滞在した僧坊に隣接のシアターでショパンのミニピアノコンサートが行われ、わずかの間、時代を偲ぶことができた。その後、海岸で昼食を摂り、パルマからソエールに行く有名な電車に乗った。1912年開通当初は蒸気機関車で、1929年からは電車になっているが、今も木製と鉄のクラッシックな車輌で当時の面影を残し、距離は全長27kmある。車窓から北部の山々の景観、古い建物、美しい庭を眺めつつ、開放的な広場、トラムンターナ山麓に広がるレモンやオレンジの果樹園に囲まれたソエールの街を散策、8時間のツアーを堪能して船に帰った。

クルーズ最後の夜となった。今夜12時までにトランクを客室扉の外に出すことになっている。夕食が終わったのは21時頃である。全部クロークに出してあったので納めるのが大変だった。明朝は8時半に下船である。出発前には、船に乗るので暇つぶしに読書でもと思っていたが、ワールドカップの決勝戦や北朝鮮のミサイル発射等のニュースをテレビで見たり、結局そんな時間はなかった。船内行事も色々あったが、船外ツアーに行ったので参加できなかった。過去にローマ、ピサには行ったが、45年前でほとんど記憶に遠い。クルーズでの海外は初めてであるが、気候にも恵まれ本当に感激の11日間であった。

7月10日、バルセロナ港に到着し、安全快適でサービスが行き届いたイタリア船シルバーウィスパー号に感謝し、別れを告げた。そしてバルセロナの市内観光に向かった。バルセロナはスペイン2番目の都市で、カタルニア地方の首都として知られている。モンジェク、ヴァエヴィラ、ティ・ビダホの3つの丘が見下ろす都会的で洗練された街である。モダン建築と芸術家の宝庫で、才能豊かな芸術家、彫刻家、ピカソ、ミロ、アティス、そしてバルセロナが誇る建築家アントニオ・ガウディなどが暮らしていた。ローマ時代に主要な港町として発展、中世の時代に最も繁栄し、ヨーロッパの中でも最も活気のある街になった。年間150万人以上の人々が観光に訪れる聖家族教会(Sagrada Familia)は最も有名な建物で、ガウディの最も独創的なデザインが装飾や彫刻に溢れていた。短時間ながら日本人留学生の案内で充実した8時間の歴史的認識を深めることができた。ホテルに1泊して早朝帰国の途についた。

写真1:ガール水道橋
写真2:聖家族教会(Sagrada Familia)

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