文系でもわかる分散 その6(番外編)

レクチャー : P先生
大手からベンチャーまで、化粧品業界で長年従事されてきた化粧品のスペシャリスト。工学博士。

質問者 : Mさん
100%文系の広報担当。分散のこと、機械のこと、実は色々よくわかっていません(^-^;
本紙の美容コラムでおなじみの乳化分散技術研究所® 高橋さんが「分散」について丁寧にわかりやすく解説する「文系でもわかる分散」、いよいよ最終回です。今回は番外編として分散に関する研究内容などをご紹介します。
分散技術で差をつけよう!
Q1.ノンケミカルでもSPFを稼ぐには?

散乱剤パーツである顔料の分散のさせ方だけで、日焼け止め効果が変わってくることを、当社の2種類の攪拌機ホモミクサーMARKⅡとフィルミックス®を使って見てみることにしましょう。散乱剤パーツは分散ですから、せん断力の強い攪拌機を使います。この2つを比較すると、低速で攪拌しているときはSPF(紫外線防御指数)にほとんど違いがなかったのですが、できるだけ分散を良くしたいのでフィルミックス®を使って攪拌周速25m/s以上で回すと、飛躍的にSPFが上がることがわかりました。普通は紫外線吸収剤を入れないとSPFが稼げないのですが、攪拌機の選び方ひとつでノンケミカルでもSPFが稼げるのです。


グラフを見ると一目瞭然ですね。周速25m/sあたりから青は急上昇してる!フィルミックス®すごい!
Q2.SPFの測り方って?

素朴な疑問ですが、SPFってどうやって測るんですか?

日焼け止めのパッケージにSPF30とか50+とか書いてありますね。このSPFはsun protection factorの略で「焼けにくさ」を客観的に比較するための数字です。(詳細はshinko 2015年5月号のコラムをご参照ください。)製品に表示されているSPFは、業界のガイドラインで厳密に決められた方法で測ります。まず、10名以上の被験者を集めて、背中とか上腕内側部すなわち二の腕の内側のような普段日の当たらない部分を選びます。そこに決められた紫外線ランプを使って、うっすら赤くなって境界線がはっきりするぐらいになったときの紫外線のエネルギーを測ります。それが日焼け止めをぬった場合とそうじゃない場合でどのぐらい違うかを比で表したのがSPFです。うっすら赤くなったかどうかは、熟練した複数の研究員の肉眼で判定します。日焼けのしやすさには個人差がありますから、試験に協力した被験者の平均値を取ります。今は、機械を使って短時間でSPFを測定することもできます。


結構大変なんですねー、SPFの測定って。私は日焼け止めをぬると肌がピリピリすることがあるので、紫外線吸収剤フリーのものを選んでいます。いま使っているクリームはSPF30です。

SPF30というのは、うっすら赤くなるまでに塗らなかった場合の30倍高いエネルギーが必要という意味です。言い換えれば、同じエネルギーだったら赤くなるまでに30倍長い時間がかかるということです。サーフィンやゴルフなど屋外で四六時中強い紫外線を浴びるスポーツを除けば、買い物程度の日常生活ではSPF30で十分と言われています。

そうなんですね、よかった。じゃあ外でサッカーするときは、こまめにぬり直したり、SPFがちょっと高いのをぬったりと、使い分けるようにします。

え、ちーちょん、サッカーやってたの?

最近始めたんです。太陽の下で体を動かすと気持ちいいですよ。高橋さんもどうですか?

俺は監督かな?今度差し入れ持って行きます。
「文系でもわかる分散」はこれにて終了です。
本紙のコラムで取り上げてほしいテーマがございましたら、info@primix.jp(ちーちょん宛)にご連絡ください。一緒に勉強しましょう!
