Today's Notables 2002年10月

マーケティングの重要性(2)

代表取締役社長 古市 尚


サービスとモノを比較すると大きく次の5つの点で異なる特性が見られるが、順次その項目についてなにが、どうして重要なのかを解説するので、自分に当てはめてサービスの向上を図るには何が重要かを考えて欲しい。

1.サービスは目に見えるものではない
サービスは購入する前に、事前に見たり触れたりすることはできず、評価することもできない。しかし、人間には経験値というものが存在し、今までの経験値から瞬時にある程度評価を下している。入ったことのない飲食店に入る時に我々はどんな基準でお店を選ぶだろうか。ドロドロののれんで、店の前にはゴミが落ちていて、裏口は開けっ放しの店と、綺麗な門構えで盛り塩がしてあり、打ち水がしてある店。この状況から料理も食べていないのに、前者は安い店ではないか、あるいは美味しくないのではないかという判断をする。当社でいうと判断材料は主に以下のものが挙げられる。1.社員の服装 2.会社の建物(整備状況)3.会社案内 4.製品力タログ 5.会社が発行する文書 6.工場内の整理整頓状況 などがモノを買う前の判断基準となっている。従って、サービスは目に見えないものであるが、それらに細心の注意を払うことにより、会社の印象を良くすることができる。逆説的にいうとそれらがいいかげんなものであると、会社の印象を悪くしていることになる。各人のユフォームは清潔に保たれているだろうか。自分の職場周辺は整理整頓が行き届いているだろうか。お客様に礼儀正しい挨拶はできているだろうか。今一度、見直していただきたい。

2.サービスは生産と消費が同時である
サービスはモノのように工場で生産され客先に輸送され、設置してそれを最終的に顧客が購入するというように、生産と消費の時点が時間的、空間的に分離することはない。現在、当社でも様々なアンケートを取り、MOT分析というものをしているがこのMOTはモーメント・オブ・トゥルースの略であり、直訳で「劇的瞬間」と訳される。即ち、お客様に対応している「その瞬間」にサービスの良し悪しが判断されているわけである。電話の対応がその最たるもので、電話に応答しているヒトが「その瞬間」は企業を代表してお客様に対応していることを認識しなければならない。お客様が来社されたときも同じである。お客様とすれ違う社員は私の担当でないので関係ないと思うかもしれないが、「その瞬間」に企業のお客様に対する姿勢がうかがえるものである。

3.サービスはその生産についてばらつきが生じやすい
サービスはその生産をヒトに依存しているので、誰が、いつ、どこで行ったかによって提供するサービスが異なる場合がある。当社でいうと各個人が専門知識や専門的な技術を持っているが、その知識を共有していないと「ばらつき」が生じる。その「ばらつき」を生じさせないためには、ナレッジの共有化が重要であり、共有化のためには研修、トレーニング、マニュアルの整備を徹底する努力が必要であり、そこに企業力が生まれるのである。

4.サービスは生産と同時に消滅する
サービスそのものはその場で消費され消滅してしまうが、サービスの良さをお客様に印象付けることによって、消滅していない錯覚をさせることができる。例えば製品を買っていただいた数日後に、「機械の調子は如何ですか?何かご不明な点はございませんか?」という電話をしたらどうだろう。おそらくお客様はもし、故障をしてもこの会社は素早く対応してくれるのではないかという印象を受けるに違いない。このように、何か一歩踏み込んだ顧客村応をすることにより、消滅するはずのサービスも、あたかも消滅していないように思わせることができる。

5.サービスは所有することができない
サービスは本質的に無形であるために、それ自体をモノのように所有することができない。つまり、お客様は受けたサービスを消費することはできても、所有して貯えたりすることができない。しかし、お客様に信頼を得るといかにもお客様がそのサービスを所有しているかのように感じられる。最近自動車保険でもしもの時に修理、タクシー、宿泊、の手配などを24時間で提供しているところがあるが、そのサービスを受けていない時にも、あたかもそのサービスを所有しているような気持ちになる。お客様に信頼感や安心感をどうやって持っていただくかという工夫が大切で、そのような仕組みを作れば、お客様に信頼を得る要素が増大する。

以上のようにサービスにはモノと違う特性があり、しかも個人に帰属する割合が非常に高い。各個人のとっている行動が「その瞬間」の対応が、特殊機化(※)のイメージを作り上げていることを十分に認識していただきたい。製造業がいいモノを作るだけでは競争優位に立てない時代である。 現在、CS会議ではあらゆる問題を洗い出すべく、様々な角度からアンケート調査を行っているが、その調査により当社のウイークポイントを抽出し、対策を講じていくためのものである。皆さんがサービスの大切さを理解し、対策に協力していただけることをお願いする。

※2005年11月21日、特殊機化工業株式会社は「プライミクス株式会社」に社名変更しました。

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