Today's Notables 2012年10月

feast in Xiamen

代表取締役社長 古市 尚


毎年恒例となりました、海の日の食べ歩き旅行。今年は中国のシァメンに行ってきました。シァメンとは聞きなれない言葉で、どこのことやらさっぱりわかりませんよね。ところがアモイと言っても中国人には全く通じないのです。どうも昔の地名が「下門」と書いたそうで、現地語でエームイとかエームンと発音されるのが、外国人にアモイと聞こえ、国際的にアモイの名で知られるようになったらしいです。私も知り合いの中国人に今度アモイに行くんだよと言ったのですが、「知らない」、「聞いたことがない」と一蹴されました。中国は広いからしょうがないねと言ったものの、今となってはちゃんと漢字で「厦門(あもい)」書いて説明すればよかったと思いました。
厦門は台湾の対岸に位置しており、福建省の省轄市で1980年には経済特別区として指定されています。華僑出身の地としても有名ですが、福建省名産の大理石、御影石などの石材やウーロン茶、プーアール茶などのお茶の産地としても有名です。そのせいもあり、厦門の港は貿易がたいへん盛んで、中国国内では大きさ、貿易量でトップ5に入る貿易港だそうです。厦門の街は今まで私が訪れた中国の街の中では、群を抜いてきれいでしかもオートバイは禁止のようで全く走っていなく、自転車もほとんど走っていません。
宿泊は今年5月に開業したばかりのウェスティン・アモイに宿泊しました。厦門で一番の高層ビルとなっており45階建です。デザインも前衛的でまるで映画トランスフォーマーに出てくるロボットのようです。こんなに最新でもバスルームの壁の大理石にはひびがいっぱい入っていたり、ヘアドライヤーのコンセントは洗面所になかったり、中国らしいところは随所に見ることができます。宿泊はもちろん快適でしたが、このグループは宿泊や観光はそっちのけで「食べる」ことを第一義にしていますので、まずは食事の話から始めます。

今回の第一目的ですが、本場の佛跳牆(ぶっちょうたん)を食べることです。佛跳牆とは高級な乾物をふんだんに使って、何時間もかけて煮込む福建省発祥の高級スープで、名前の由来は「あまりに美味しそうな香りに修行僧ですらお寺の塀を飛び越えてやって来る」ということから名付けられたそうです。私は佛跳牆を日本でも何度か食べたことはありますが、本場の味を味わってみたく、福建省まで出かけて行った次第です。しかし、本場は福建省でも省都のある福州で、厦門からは300kmも離れていました。修行の身のお坊さんが塀を飛び越えるぐらいなので、こっちも片道4時間ぐらいは我慢しないといけないと思い、わざわざ福州まで足を延ばして本場の佛跳牆を味わいに行きました。
材料は干しアワビ、干し貝柱、フカヒレ、魚の浮き袋、干し海老、金華ハム、干しナマコ、干しシイタケ、豚の筋、朝鮮人参、干し竜眼、枸杞(くこ)、紹興酒などが使われており、全ての食材を壺に入れて密閉したあと、8時間以上蒸すそうです。食材が乾物中心のため脂ぎった感じは全くなく、すっきりとしていて、アミノ酸やコハク酸などの旨味がしっかりと感じられ、それはそれは美味しいスープです。ウェブで佛跳牆を検索したら横浜で有名な中華料理店では5日前までに予約すれば、食べられると記載されていましたが、料金は2人前4万円と書かれていました。ちなみに今回、福州で食べた佛跳牆は1人前1,000円少々でした。(^o^)
それ以外にこの地方では客家(はっか)料理という客家人が食べる料理も有名です。客家人は歴史上、戦乱から逃れるために、山間部を中心に移住を繰り返していった漢民族で、移住先では原住民から見て「よそ者」であるため、客家と呼ばれたそうです。現在の主な居住地域は、中国広東省、福建省、江西省など山間部だそうです。彼らが食べる客家料理はその歴史から保存の効く料理や家禽、家畜を育てながら、山の幸である野生動物やタケノコ、山菜、キノコ、川魚、カエルなどを利用し、華南での栽培に適したコメやその加工品とサツマイモを主食とし、煮物や蒸し物を中心とした素朴な料理をおかずとして食べる食生活を形成したとされています。また、移住の多かった生活のため、携帯や保存の利く漬物、乾物、燻製をよく食べるそうで、労働での発汗による塩分を補給して体力を維持するため、脂こく、塩辛く、濃い味付けの料理が多いとされています。

アヒル肉料理

タケノコ料理

豚肉料理


我々一行は客家料理を食べるついでに、世界遺産に登録されている「福建土楼」またの名を「客家の土楼」も見に行きましたが、その道中、土楼が点在する少し手前の田舎街で、本場の客家料理を食べる事ができました。東坡肉(トンポウロウ)のような煮た豚肉の下に、野沢菜の古漬けといった感じの漬物を炒めた料理やアヒル料理、薬草(木の根みたいでしたが)のスープ、タケノコ料理などが美味しかったです。実際にはそんなに脂っこく感じたり、塩辛く感じたりすることはありませんでした。レストランで着席した窓からは裏庭で鶏やアヒルなどが元気そうに歩き回っているのがみえましたが、食材もたいへん新鮮だった感じがしました。
福建土楼は12世紀から20世紀にかけて建てられた大きな集合住宅で、円形のものや長方形のものがあります。外側はほとんど壁だけで砲台のような作りになっており、入り口も1カ所しかありません。直径は30m〜50mあり高さは3階建や5階建のものがあり、大きい土楼では80〜100の同族家庭が生活しています。壁は180センチ以上と厚い土壁で、木の骨格に周辺で採れる砂に黒糖やもち米を入れて壁土を作るそうで、非常に強く、7〜8百年経った今でも人が暮らせる状態を維持できるわけです。今回は移動時間が長く、あまり色々なところには行けませんでしたが、世界遺産はやはり一見の価値ありです。来年は北京に行くことを決めて今回の旅を終えました。


世界遺産の福建土楼

土楼の壁
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